多重帰還形フィルタのパラメータを変えたら発振した
Cosmo-Zの特注品で、アナログのゲイン1で周波数帯域を5MHzに制限したものがほしいという要望がありました。
通常のCosmo-Zの帯域は50MHzでゲイン2なので、アナログフロントエンドに入っている多重帰還形フィルタのコンデンサの容量を10倍にして、抵抗の大きさを2倍に変えてみました。
そうしたら・・
発振しました。( ノД`)
発振といってもADCのLSBで数えて4LSBくらいの小さなものですが、FFTしてみると妙なスペクトルがちゃんと見えてしまいます。
さて、OKAWA Electric Designのサイトで多重帰還形のフィルタの特性をシミュレーションしてみます。このサイトはWebサイト上で抵抗やコンデンサの値を入れるとすぐに特性が見れるので大変便利です。
私の適当に作ったフィルタをR1=1kΩ、R2=901Ω、R3=1kΩ、C1=33pF、C2=33pFを当てはめた結果、
fc = 5.08MHz、Q = 0.339で、特にピークなどはありません。1MHzあたりからだらしなく特性が下がっています。
ボーデ線図を見る限り発振が起きている35MHz付近にはピークはありません。なので、この回路図に現れない微妙な現象が起きているのでしょう。浮遊容量でOPアンプがむががが。。
さて、↑の回路は発振してしまうので、正しいパラメータの回路に作り変えます。
今回のカスタマイズのためにコンデンサや抵抗を乗せ換えたので、せっかくだから帰還コンデンサの33pFを活かせるようにGain=1、Q=0.707、fc=5MHzとなるように設計すると、R1=680Ω、R2=340Ω、R3=680Ω、C1=132pF、C2=33pFが最適となりました。
シミュレーション結果は下記のとおり。Q=0.707で、fc=5.01MHzです。
↑理想的なQ=0.707
今日のところは手元に680Ωがないので、1kΩと150pFと200Ωで代替しました。
fc=5.06MHz、Q=0.68と少し違っていますが、私が作った最初の回路よりはQの値が高くなっています。
特性的にもキレのよい普通のLPFです。
↑手持ちにある部品でQ=0.7をめざす
実際のCosmo-ZのCH1とCH5を、この1kΩ、200Ω、150pFに改造してみた結果はというと、
緑と茶色の線は発振していないことがわかります。
スペクトラムを見ても、発振を思わせるようなピークはありません。
ちゃんと設計したフィルタのほうがQは高いのですが、発振しませんでした。なぜなんでしょうね。
より正確な値に近づけるよう、RSコンポーネンツで120pFと12pF、330Ω 0.1%、680Ω 0.1%をたくさん注文しておきました。
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